この世界の(さらにいくつもの)片隅に

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順不同/敬称略

この映画は、こうの史代の原作漫画をアニメーション映画化した「この世界の片隅に」の上映時間2時間10分に対し、2時間50分(予想)となった「新しい映画」である。方法論としては当然「新作カット」を組み込んでいる。通常そういう処置をすると、前後で生じる落差が気になったりする。ところが、それがまったく気にならない。「新しいカットが組み込まれることで、前からあったショットが新しい意味性を帯びる」展に、何より深い感銘があった。主人公すずが遊郭に迷い込んだ体験を中心とする「心の機微」が加わり、「夫婦になること」「居場所を見つけること」と言ったストーリーの軸が、まったく違って見えてくる。まさに「別の映画の誕生」である。

———氷川竜介(アニメ・特撮研究家)

三年前に観たとき、完璧な映画だと思った。
「すずさん」は70年前に生きていた人物として、徹底的にリアルに描かれていた。今回、30分多く筆を重ねられた彼女は更に実在する人間にしか思えなかった。僕が出会った人の中で一番、可愛くて強い人だ。

———歌広場 淳(ゴールデンボンバー)(ミュージシャン)

登場人物の闇の部分が浮き彫りになり、それによって戦争の無慈悲さ残虐さを強く感じる作品となった。特に戦時下の女性たちの悲しみが胸に迫る。芸術も戦争も人間が作る。絵を描く右手が人も殺す。後半は涙が止まらなかった。

———渡辺えり(オフィス3〇〇主宰劇作家、演出家、女優)

「この世界に居場所はそうそうのうなりゃせんよ」その言葉が胸に残る。ほんまですか。私の居場所もありますか。いろんな人のいろんな想いが、生き様が、スクリーンのあちこちらに。皆んな何も言わんけど、強い。戦争がそうさせているのか、そうでもしないと生きられなかったのかもしれない。そういう想いが痛いほど伝わってきて、いつの間にか、あの中の誰かさんに寄り添っていました。

———西田尚美(女優)

こうの史代さんの描く、淡く柔らかい世界観は、とても人なつっこくて、受け取る側の心をホッと癒やしてくれる。
だからこそ「戦争」の残酷すぎる現実を描ききれるし、胸に突き刺さってくるんだね。
こうのさん、片渕監督「この世界の片隅」から「すずさん」を連れてきてくれて、本当にありがとう。

———ちばてつや(漫画家「あしたのジョー」「ひねもすのたり日記」)

リンという女性もまた、この世界の片隅にに生きていた。美しい桜の宴に集うすべての人生への慈しみも含め、この世界の最後のピースがはまった。

———高橋留美子(漫画家「うる星やつら」)

本当に本当に素晴らしい映画です。こんな時代だからこそ、なるべく多くの人に見てほしいなあ。
歴史の地層を丁寧に見ていくことでしか未来は開けない、そんなことを思わせる映画でもあります。音も音楽も素晴らしい。
同時にわたしにとっては「あまちゃん」の天野アキを演じたのんちゃんがこの映画で戻ってきたという意味でも感動的な映画です。

———大友良英(音楽家)

まったく新しい作品を観るかのように引き込まれました。追加エピソードによって、すずさんの表情や、呉や広島の情景が、より切なく心に沁み込み、より深く魂を抉られる。絶対に実写化できない作品だ。素晴らしすぎる!!

———いのうえひでのり(劇団☆新感線 主宰/演出家)

ひたひたと感動が押し寄せてくる。
「この世界の片隅に」を観て味わった感動が、今回の“新作”によってさらに大きく、深いものに変わった。
ぜひ多くの人に観ていただきたい。

———三枝成彰(作曲家)

新エピソードによって、すずさんの心の奥深い部分に触れて、彼女の肌触りや体温まで感じられたような気がしました。
それを味わってから辿るストーリーはより深みを増しつつ新鮮で、全く新しい映画として観ることができました。この感覚を誰かと共有したいです。

———小玉ユキ(漫画家「坂道のアポロン」)

前作は「”戦争に巻き込まれる”すずさんの物語」でしたが、今作はそのままズバリ「すずさんの物語」。原作に描かれていた「すずさんの心」が全てつながりました。「この世界の片隅に」の本当の意味がわかります。

———とだ勝之(漫画家「あきら翔ぶ!!」)

ぼくにとってリンのパートはとても重大だったので、これで完全に成就しました。追加シーンが、それ以降の従来部分のニュアンスにも影響を与え、深みを与えています。最高です。

———武富健治(漫画家「鈴木先生」)

もはや『この世界の片隅に』とは別物の大傑作。短い版も長い版も共に傑作というのは160分版と207分版が存在する『七人の侍』以来のおおごとだ。

———鶴田法男(映画監督)

もう一度、すずさんに会えた幸福と、リンさんの隠された秘密と、さらにいくつもの人生に涙が止まりませんでした。

———鴻上尚史(作家・演出家)

ときにその寛容さが、優しさが、咀嚼できぬものとして残ることもあるのだけれど、咀嚼できるはずのないものが空を飛び、爆弾を落とし、日常を壊し、それでもみなで生きてきた世界の現実を改めて知らされるのです。

———万城目学(小説家)

私達は生きている中の小さな一つ一つ全てを全身で感じてしまう。それは美しく、残酷なことである。「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」では、すずさんとリンさんがその両極性を縁取って描いてくれているようでした。さらに何層も深く、愛しい作品になっています。

———チョーヒカル(アーティスト)

本当に全然印象の異なる作品に変わってて驚いた。クリスマス〜お正月映画の大本命だと、あえて言いたい。

———宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)

本当はこんなにも獰猛な作品だったのかと戦慄…中盤以降は本当に別の映画。
今年はアニメーションのモードが変わった年だったけど、
これは間違いなくそんな「今年」の映画。
めちゃくちゃ凄い。試写後拍手出たけどそりゃそうだ。ただただ凄い
新規シーンによって、見えないものを探る手というテーマがよりはっきりとして、
観客はまさぐられている見えないなにかを確かに感じてしまう…見えないのに、感じる。
光の表現も、動きの表現も、新たなリアリティのレイヤーを加えるようなものとして機能する。すごい

———土居伸彰(新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター)

2010年代アニメの最後を飾り、20年代アニメの展望を示す傑作。すずさんの描くことと周作さんとの物語に絞った前作の構成から、リンさんの存在がぐっと前景化することで女性のアニメ的身体の葛藤の物語に。原作の印象とも異なる、完全に第3の『この世界の片隅に』の物語となっていることに驚嘆。

———渡邉大輔(批評家・跡見学園女子大学講師)

160分と長尺だが全く無駄がなく、圧倒的に充実感がある。キャラクター描写がより深くなり、困難の中で思いやり、支えあいながら生きる人々の姿に感動。生活の工夫の数々は、便利さに頼りがちな現代人必見。ラストは涙なしで見られない。

———池辺麻子(映画ライター)

これは…これはすごい…新規カットは250以上。知っていたあのシーン、そして映画全体の印象が変わる。単なる長尺版とは言えない、“空白”を埋めていき、“秘密”に触れ、映画の豊かさで胸がいっぱいになる、至福の2時間40分でした。

———ヒナタカ(映画ライター)

すずさんの置かれている立場が深刻で、“居場所”というテーマとタイトルが持つ意味の重さをよりズシリと感じられました。単なる“長尺版”と思って観たらやられます!

———沖本茂義(アニメ!アニメ!副編集長)

「現行版」を4回くらい観ているので、流石にどうかな?と思っていたけど、感じるポイントがまったく違うものになっていたので心底驚いた。こんな体験初めてかも……是非その目で確認を。

———麦倉正樹(ライター)

※コメントは<特別先行版>による感想。公開版は168分
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